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交通事故によるケガ

■「交通事故によるケガ」って?

 接骨院で多く扱われる症例

 交通事故では時に、脊椎や骨盤骨折、頭部や脊髄損傷、臓器損傷合併する重篤な外傷となる例がありますが、救命処置が優先されて救急病院搬送となる為、そのような重症例を接骨院で扱うことはありません。

 接骨院では、「自動車(またはオートバイ)に乗っていて停車中、他の自動車に後方から追突された」、「歩いて(または自転車に乗って)いて、オートバイ(または自転車)に衝突されて転倒した」ことによって、首や腰の痛みを訴え、病院で「頸椎捻挫」(いわゆる「むち打ち症」)や「腰椎捻挫」と診断された症例を多く扱います。

「頸椎捻挫」・「腰椎捻挫」とは?

 交通事故外傷における独特の診断名

 交通事故に遭って首や腰の痛みがあり、救急搬送され、あるいは後日病院を受診し、レントゲン検査で「骨に問題はない(骨折はない)」と診断された場合、診断書には「頸椎捻挫(外傷性頸部症候群、むち打ち関連障害)」、「腰椎捻挫」という傷病名が記載されます。

 

 画像検査では異常がない!?

 頸椎や腰椎にも関節(椎間(板)、椎間関節)があり、靱帯(前・後縦靱帯、黄色靱帯、棘間靱帯、横突間靱帯)や関節包が存在しますが、一般的にイメージされる「捻挫」とは少々様相が異なります。「捻挫」の代表例である「足関節捻挫」もレントゲン検査では異常を認めませんが、超音波画像やMRI検査では、関節包や靱帯部に異常(病変)が描出されます。「頸椎捻挫」や「腰椎捻挫」では、CT検査やMRI検査でも、関節包や靱帯、それ以外の組織にも病変を捉えることができない例がほとんどです。(※精査によって、症状と一致する病変が明らとなった例では、改めて、その傷病名(例:頸椎椎間板損傷、外傷性腰椎椎間板ヘルニア)として診断がくだります)

 何が痛みの原因なのか?

 交通事故による頸椎捻挫や腰椎捻挫の痛みの由来 ― どの組織が傷害されるか ― については、これまで多くの医学研究で様々な考察と検証が行われてきましたが、未だ特定には至っていません。

 交通事故以外の原因でも首や腰の痛みを訴える例がありますが、頸椎捻挫の局所症状は、いわゆる「寝違い」の状態に、腰椎捻挫の局所症状は、いわゆる「腰痛症」の状態に似ています。「寝違い」も「腰痛症」、画像検査で捉えられる病変がなく、未だ痛みの由来が特定されていない疾患ですが、関節包や靱帯、椎間板、あるいは周辺の筋・筋膜などに生じた「画像検査では捉えられない微細な損傷」に精神的ストレスが加わって痛みを生み出しているではないかと考えられています。同様に、交通事故による頸椎捻挫や腰椎捻挫の痛みも、肉体的・精神的ストレスが複合的に関与していることが示唆されています。

 

■「頸椎捻挫」・「腰椎捻挫」の症状と予後

 

 画像検査で異常がないなら「軽症」?

 三角巾で腕を吊る、足にギプス固定して松葉杖をつくようなケガに比べ、交通事故による頸椎捻挫や腰椎捻挫は、傍目にはどこを痛めているのか判りにくく、画像検査で「異常なし」と診断されることもあって、「軽症」と思われがちです。しかしながら、不意に身構える暇もなく衝突された場合、あるいは衝突されて投げ飛ばされるように転倒した場合、外力を受けた局所だけでなく全身に衝撃が伝わるため、肉体に相当なダメージが残ります。

 そのため、局所の痛みだけでなく、全身性に痛みを訴え、時に、頭痛やめまい、吐き気、目のかすみや耳鳴り、顔面や四肢の感覚異常、全身倦怠、動悸、食欲不振といった自律神経失調症状(バレー・リウー症候群)、精神不安に苦しむ例をみます。

 

 どのような経過をたどって良くなるのか?

 受傷直後よりも翌日以降に痛みが強くなっていくのが特徴的で、受傷から1週間は局所だけでなく、周辺の背中や腕や脚に、時には全身性に痛みが拡がります。また、日変わりで、強く痛みを訴える部位が変化しますが、2~3週経過すると局所に収束していきます。同時に、鋭い痛みも徐々に緩和していきますが、「重苦しい」鈍い痛みや「凝ったような」突っ張り感へと変化していきます。1ヶ月経過以降は、緩和と停滞を繰り返し、また、日によって「調子の波」があるものの、4ヶ月前後で症状が終息します。「交通事故のケガは後遺症が残る」とよく言われますが、大規模な調査に基づいた疫学的研究では、交通事故による頸椎捻挫や腰椎捻挫では「後遺症を残さない」と結論付けられています。

 

■及川接骨院での施術方法は?

 

 回復を妨げるもの

 交通事故による頸椎捻挫や腰椎捻挫で、自律神経失調症や精神不安を合併し、症状改善に時間がかかる例(遷延治癒例)では、安静ができずに無理をして強い痛みに晒される肉体的ストレスに加え、自身の不調に対する周囲の無理解や「どうしてこんな目に遭わなければならないのか」という思いに苦しむ精神的ストレスが誘因になると考えられています。したがって、受傷初期の痛みを悪化させず、いかに早く鎮静させるかが重要となります。

 

 急性期の施療

 受傷直後の痛みが強い2週間程度は、頸椎捻挫では頸椎カラー、腰椎捻挫では腰椎バンド等の簡易装具を常時装着し、安静と集中的な受療に努めるよう指導します。初期施療は鎮痛を一番の目的とし、心地良さを与え、緊張を和らげる施術を主体に行います。

 

 回復期の施療

 1ヶ月経過以降は、装具の装着は労働時や痛みを強く覚える時など限定的にして、事故以前の日常生活・就労動作レベルに戻し、安静よりも積極的に身体を動かすよう指導します。施療も、運動性の回復を目的とした、受動的・能動的運動療法に重点を置いた施術に転換します。

 

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